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noblame.exblog.jp
  2005年 08月 27日
「人はなぜ音楽を買うのか」
 本日は休日出勤。とはいえ時間的には少し余裕があるので、気になっていてブックマークはしておいた記事を読みました。その中ではITmediaの「人はなぜ音楽を買うのか」という記事が興味深かったです。音楽ダウンロードサービスを踏まえつつ、何故音楽を購入するのかということについての考察があります。
 特にシングル市場が未だに根強く存在するJ-POP中心の日本においては、このメリット(オンライン販売の利便性―「検索性」、「即時性」、「値頃感」)は享受しやすい。そしてこの点こそが、旧来の音楽ダウンロードサービスでも月に50万曲も売れた理由であろう。すなわち厳しいDRMがあっても関係ないような音楽、あるいは聴き方というのは、音楽を消耗品として扱うということにつながる。いわゆるコンビニの便利さと同じなのである。
 例えばコンビニで買うもので、「これは多分一生使うだろう」というものがあるだろうか。そうではないはずだ。コンビニとは生活に必要な消耗品を買うところなのである。音楽がそれだけ日用品となったことは、音楽産業にとっては喜ばしいことだろうが、すでにJ-POPは消耗品であるという事実を裏付ける結果と見るべきであろう。
う~ん、なるほどって感じです。確かにCDというパッケージではなくて「データ」という目には見えない形で持っている音楽って消耗品です。iPodなどでも、すぐに聴かなくなったら消去するという使い方ですからね。
 反復して体験するという機能を利用することによって、新たにコンテンツを把握するための欲、敢えてグロテスクな表現を用いるならば、そこには「咀嚼欲(そしゃくよく)」とでも呼ぶべき感情が発生しているのではないだろうか。そして咀嚼することで、その作品を自分自身の精神的な成長の糧として利用するわけである。
 逆の言い方をすれば、咀嚼するには何度でも繰り返し再生する必要がある。我々はパッケージを所有してしまえば、自分にはいつでも何度でも再生する権利が発生すると思っている。そして欲というのは、基本的に時と場所を選ばない。
 したがって購入したコンテンツが、「ダウンロードしたPCでしか聴けません」、「音楽CDを作るなんてとんでもありません」などという制限がかかると、咀嚼欲を制限された不満足感を感じる。欲とは、自制する分には健全だが、他者から制限されると反発を生むものである。
分かりましたか?東芝さん。決して安くはないCDを買うということは、それをずっと「自分のもの」としておきたいからという行為であるのに、売り手がその使用法を勝手に制限する「セキュアCD」なんて、くだらないことはやめてね。

《Today's Music》
Camel / Dust and Dreams ('91)「人はなぜ音楽を買うのか」_b0014459_11182890.jpg

学生の頃の専攻はアメリカ文学でした。その分野を学んでいれば避けて通れない作家の一人がJohn Steinbeck。『Grapes of Wrath』(『怒りの葡萄』)、『Of Mice and Men』(『二十日鼠と人間』)、『East of Eden』(『エデンの東』)などがもっと有名ですね。大好きな作家の一人です。
 彼の『Grapes of Wrath』を下敷きにしたアルバムがこれ。ストーリーとしてはアメリカ中西部(オクラホマ)が干ばつみ見舞われたため、農民は困窮。さらにそこに資本主義の進出があいまって、彼らは土地を失い、生きるために西へ向かいます。多くの困難の末、夢の大地カリフォルニア(Land of Milk and Honey)にたどり着くものの、状況はさして変わらず。豊かな土地を目指してアメリカ大陸を横断したはずが、彼らの目前に広がるのはこれ以上進むことの出来ないアメリカ大陸の西の果て。幻想に終わるアメリカのフロンティア精神が描かれています。しかし、希望が全くないわけではなく、人間の強さなどが描かれた素晴らしい作品です。
 で、このストーリーにそってドラマティックな音楽を奏でているのがプログレ界のベテランバンドCamel。自分はプログレはあまり詳しくないのですが、この作品はプログレというイメージからくる小難しさもなく、メロディアスな楽曲が連なっている素晴らしいアルバムです。Mae McKennaの参加している"Rose of Sharon"の劇的さの度合いといったら最高です。
 これをきっかけに彼らの名作といわれる『Snow Goose』も聴きました。そちらも文句なしにすばらしかったです。
by noblame | by don_t_blame_me | 2005-08-27 11:20 | 音楽
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