2005年 02月 24日
『人種差別の帝国―The Empire of Discrimination』
同僚から「読み終わったんであげる」ということで矢部武の『人種差別の帝国―The Empire of Discrimination』という本をもらいました。タイトルの通り、アメリカにおける人種差別についての記述がなされていて、人種差別というものの根深さなど、かなり考えさせられる本です。
その中で日本からアメリカに移住し、「白人ではない」ということで差別を受けた人の言葉があります。
(差別を受けた時に)あえて白人と対決しようなどと思うと、彼らにつぶされるか、あるいは銃で撃ち殺されかねない。結局、この国では白人の機嫌をそこねないように、当たり障りのないように生きるのが一番なのです。(永住権を取得していても)私は米国では移民として見られ、ずっと"邪魔者扱い"(treat as an outsider)されてきました。
これはまさに自分の好きな作家、Ralph Ellisonが『Invisible Man』(『見えない人間』)で描いている世界です。(この作品は是非多くの人に読んでもらいたいですね)
また、この『人種差別の帝国』の中で女性学を研究してきたある女性の博士(白人)はこう言っています。
(米国では白人の特権を持つ人たちは、それほど努力しなくてもある程度の成功をおさめられるように、社会、教育、経済などのシステムが出来上がっていて、そういう環境は人格形成や考え方生き方などに、概してよい影響はあたえません。)いまのホワイトハウスを見てください。ブッシュ大統領をはじめこの種の人間ばかりが集まっていますから、抑圧された人たちの気持ちがまったくわからない。だから自分の思い通りにならない外国のリーダーは戦争で叩き潰す、というようなことを平気でやるのでしょう
よくぞ言ってくれました、博士!ほんと、その通りです。
これから夢を膨らませてアメリカに渡ろうと思っている人には嫌なことが書かれている本かもしれません。自分にとってアメリカは良い国です。そこで暮らせたことや出会った人たち、学んだことは大きな財産です。逆に大好きな国だからこそこういう部分も知っておかなければいけないと思います。
《Today's Music》
Charlotte Martin / On Your Shore ('04)
RABIさんのところで紹介されていたCharlotte Martin。これはいいですねぇ。女性ヴォーカルが好きで、うっとりとしたメロディが好きなひとならガッツポーズものかも。ピアノが主体ですが、ストリングスなども入っていて良いですよぉ。歌も上手だし。ピアノが取り入れられていて、寒くて暗い感じは
Evanescenceを思わせるところもあったりしてグッドです。(あれほどへヴィじゃないけど)。"On Your Shore"、"Your armor"、"Sweet Chariot"、"Haunted"、"Beautiful Life"なんか素晴らしいです。
The Rolling Stonesの"Wild Horses"のカヴァーも違った感じで面白いですね。
Amazon.co.jpで購入して1,600円ちょっとだったけど、これはかなりお買い得です。